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質問(適切な言葉で表現できない)

大きな話なので、あなたにぴったりの回答かどうかわかりませんが、私の思ったことをいくつか書きます。(続く)

#結城浩に聞いてみよう
https://ask.hyuki.net/q/20180505190132 https://t.co/8ZgD65KhN4

まず、適切な言葉をすばやく一発で見つけるというのは、基本的にとても難しいことだと思います。自分を例に挙げて恐縮ですが、文章を書いているときですら適切な言葉を見つけることは難しいといつも感じます。だから、推敲が必要になるわけですが。

二つのポイントを話したいと思います。一つは少しずつフォーカスを絞っていくという話。もう一つは自分の気持ちに気をそらされないという話。

あなたのいうように、文章を書いてみることは、適切な言葉を見つけ、選ぶ練習になると思います。そのときでも、いきなり適切な言葉が見つかるわけではありません。さっきも書いたように、それは難しいことですから。

ぴったりと適切な言葉を見つける前に、大枠で「こっちの方向」を指し示すようにすることをお勧めします。最初からピンポイントで適切な言葉を使うのではなく、「だいたいこっち」という言葉を使うのです。

自分が好きな食べ物の話を書くとしましょう。そのときに、いきなりリンゴの品種をずばり言おうとするのではなく、「果物が好き」と言ってしまう(書いてしまう)のです。あるいは「辛いものは苦手」でもいいですけど。要はざっくりと。

そしていったん「果物が好き」と言い切っちゃったあとで、「でもパイナップルは嫌い」と言ってもいいのです。そうやって、少しずつ少しずつ、ときには自分の心を探りながら、言葉をつないでいくというのは、決して悪い方法ではないと思います。

大事なのは、小さな一歩を進めていくこと、少しずつフォーカスを絞っていくことです。頭の中で(果物が好きだけど、正確にはすべての果物が好きなわけじゃなくて、たとえばパイナップルは嫌いだし、バナナも苦手かな。でもリンゴは好き……)とずっと考えていると、何も言えなくなってしまいます。

一度に完成形にしなくてもいい。むしろ、少しずつ進んだ方が聞いている方も(読んでいる方も)わかりやすくなるかもしれません。これが一つ目のポイント。

二つ目のポイントは自分の気持ちに気をそらされないという話。「言いたい言葉に霞がかかってそもそもその言葉が出てこない」という感覚は(ぴったり同じではありませんが)ちょっぴりわかります。私の場合は、思いつく言葉はあるけれど、それが「それ」じゃないという感覚です。

自分が仮に何かを言ったとしても、それは自分がいま感じているものや言いたいこととはズレている。そういう感覚が強いと混乱してしまいますよね。ここはなかなか難しいところなのですが、私の場合には「もともと言葉はそういうものだ(ズレがある)」と開き直っているところがあります。

自分が何か言葉を言おうとしたときに、自分の気持ちが「違うよ!違うよ!いま口にしようと思っている言葉はほんとの気持ちとは違うよ!」と訴えたとき、あまりそこに気を取られすぎないようにするのです。(ちょっと難しい感覚です)

特に、話している途中で自分の気持ちにゆさぶられると、文章が途切れてしまいます。「私は果物が…いや違うな。うん、パイナップル以外の……そうじゃなくて…」これでは混乱に拍車が掛かってしまいます。自分の気持ち、特にチェック機能が強い気持ちを抑えて「いったん言い切る」ことは大事です。

以上、二つのことを書いてみました。適切な言葉を使うというのは難しい作業です。文章を書くのもよい練習になると思います。いろいろやってみてください!

2018-05-05 (Sat) 19:02:40