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昨年、新潟県高等学校の数学教師のあつまりに招いていただいたのですが、そこで一番人気だったのは『数学ガールの秘密ノート/丸い三角関数』でしたね。教える立場からすると《大変いい》本だったそうです。先生方から絶賛されましたよ!
http://note3.textfile.org/

「丸い三角関数」という書名からおほめに預かりました。三角関数は、角度に制約を与えて三角比から進むことが多いのですが、数学ガールではいつも「円」を中心にすえて話を進めています(その方が楽だし、結果的に正しくてわかりやすいから)。そのことがよく表された書名だと先生に絶賛されましたよ。

そして実際「丸い三角関数」というのは日本語だとちょい反語的な言い回しになりますが、英語にしたらCircular Functionsと、たいへん自然なんですよね。もともと三角関数(sin, cos)は三角形というよりも円を表現している関数なのですから。

実際無印の『数学ガール』で悟りました。高校数学の多くの物語は、原点が中心で半径が1の単位円から紡がれるということを。オイラーの公式しかり、三角関数しかり、ベクトルしかり、微積分しかり……

『数学ガールの秘密ノート/丸い三角関数』をほめてくださった先生には二タイプありました。一つはツイートしてきた話。もう一つはプラクティカルな話。新卒で「初めて三角関数を教えます!」という先生が加法定理をどう教えようか考えていましたと。
https://note3.textfile.org/

結城の書いた本がそのような先生の教材研究の一助となれたら、とてもうれしいですね!http://note3.textfile.org/

結城はよく、数学の「単元」の意味を考えます。単元に分けて教えることはとても重要。難しい課題は分割して統治するのが王道ですから。複雑な課題を、順序をよく考えて(教えたことが先にくるようなトポロジカルソートを行い)、単元に分けることはとても大事です。でも、

でも、あきらかに数学ガールや数学ガールの秘密ノートは、その「単元」を無視しています。というか意図的に単元を乗り越えようとしています。人が何かを学ぶときというのは、表面上は単元ごとにわかれて学ぶかもしれない(ちょうど自動車の教習のように)。でも、ほんとうの理解はもっと融通無碍。

証明もされてないけど、聞きかじったことが納得の根拠になることもあれば、ずっと昔、小学校であいまいに過ごしてきたことが気になってしかたがないこともある。人間の理解はずっとずっと複雑です。それが解消されるのは、とても個人的な営みの中でのみ。

結城はその「深い納得」を導くのは「対話」だと思っている。信頼ができる友や教師との対話。あるいはまた真剣な読者と書籍との対話。それを通してはじめて「深い納得」に至る。なるほど!確かにそうなるね!という心からの叫びが出るかどうか。そこにこそ、学ぶ喜びがある。

三角関数であれ、微分積分であれ、そこには常識とはちょいと離れた納得の必要性がある。権威ではない。年齢でもない。経験でもない。ただ理性と論理がある。「これがこうだとしたら、論理的にこうなるよね」という世界はとても自由で美しい。だって、現実世界の多くの呪縛から逃れるチャンスだから。

もちろん細かい話はたくさんあるけれど、大枠でいえば、すべて論理の勝負である。誰がなんと言おうとcosとsinをそう定めたら、二乗和は1に等しくなるよね。だって、ピタゴラスの定理と単位円があるから!そういう力強さ、骨太さがすごくいい。

たまたまさっき「○(マル)を上から書き始めたら減点された算数のテスト」というツイートを見かけた。まあよくある話題だ。ばかじゃないのかと思いますね。算数でも数学でももっとすばらしく美しく、楽しく、輝いている世界があるのに。(あっと、ばかじゃないのかなんて罵倒しちゃった(^^;)

結城のような素人数学愛好家がちょっと勉強しただけでも、数学に対する畏怖を抱く。ここには深い本物があると感じる。厳密だからこそ自由な世界がある。身分、年齢、国籍、性別、そんなの無関係の(人間を越えた)世界がある。これはめちゃめちゃ楽しいわけですよ。

だからこそ、結城は自分なりに工夫して、彼女たちの数学トークを書き留め、若い世代に伝えたいと思った。いいですか、あなたがた、ここには本物が隠れている。わたしが示せるのはほんのわずか。でもあなたがたはきっと、悟ったなら、結城をはるかに越えてもっとすごい世界を見つけてくれるはず。

結城はそんな気持ちで毎週のWeb連載を書き、毎年書籍を刊行しているわけです。自分が見つけた真実なもの、良いもの、美しいものを次世代に伝えるのこそ大切な仕事だから。ですよね。自分の能力には限りがあるから、自分が理解できる範囲での活動になってしまうけれど。

以上の連ツイは、以下のURLにまとまります。
http://rentwi.textfile.org/?708541967391547392s
そして、もしかしたらいつか、加筆修正の後、結城メルマガの読み物になるかもしれません。
http://www.hyuki.com/mm/

2016-03-12 (Sat) 15:35:43