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質問(講演会のメモ)

これは、人の話をメモすることなのか、自分が話す際にチラチラ見るメモのことかどちらでしょうね。前者としてお答えします。(続く)

#結城浩に聞いてみよう
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講演会のメモに限らず、人の話のメモを取るのが苦手な人はたくさんいます。まず、何のために自分はメモを取るのかを考えておく必要があります。後からそのメモを読み返して、自分は何をしようというのか。目的によってメモの取り方(書き留める内容の精度)は変化するでしょう。

後で記事にするなど、講演内容をもとに文章を書かなくてはいけないなら、可能ならば録音したほうがいいですね(録音禁止の場合はダメですが)。

後からそのメモを使って自分は何をしたいのか。つまり、どのくらい正確に講演の内容を再現する必要があるのか。そして、自分の言語処理能力と記憶力の兼ね合いで、何をどのくらい書けばその目的を達するかは変わるでしょう。

やりがちなミスは、講演の最初は、一言も逃すまいとおもってたくさんメモをとるのだけれど、実はそれは背景説明である…というケース。肝心の話の中心が始まる頃には疲れてしまって話を聞けないし、メモも取れないということになります。

講演の長さ、話の内容などから、いまは背景説明なのか、話の中心なのか、その具体例なのか…そのような話の構成をとらえておくことはとても大事です。さもないと、単なる例を主張の中心と誤解したり、ひどい時になると「世の中ではこうだけれど〜実は」の前の部分を主張だと勘違いしたり(真逆になる)

メモをどう取るかは、メモを見た自分が、そこに書かれた断片からどこまで復元できるかにかかっています。話を聞きながら、書ける量にはどうやっても限りがありますから、「自分はこの単語さえ書いておけば、自分が必要な情報を復元できる」と判断しつつメモしていくことになります。

言語処理能力は各人でまったく違いますから、そこは自分で判断が必要になります。キーワードをメモするのは基本としても、先ほど言った構成(背景なのか例なのか主張なのか…)に関する単語もメモしておいたほうがいいでしょうね(「例」みたいに書いておく)。

また、講演の途中でもしも「ああ、ここの部分は知ってる」みたいに、自分のCPUに余裕がある場合には、さっき書いたメモをちらっとみて、不足している情報を書き足す時間にすることもあります。

つまり、自分の言語処理能力をいまどこに使うのかを注意するわけです。

・話の内容を聞くことに使うのか
・話の構成を把握することに使うのか(いまは例が続いてるのかな?)
・キーワードを書くことを使うのか
・メモを読み返して補足することに使うのか
・その他

切り替えつつ進みます。忙しいね。

講演が終わった直後が、メモを補充するチャンスタイムです。自分のメモを読み返して、これは例!これが結論!これはまだ分かってないこと!みたいに補足説明を忘れないうちに大急ぎで書いていきます。単なる単語を文の形に膨らませておくこともあります。特に、肯定なのか否定なのかは大事。

直後には思い出せなくても、少し時間を置いて読み返すと、「そういえばこんなことも言ってたな」と思い出すこともあります。それもメモに含めておきます。

メモを読み返すと、「くうう〜これどういう意味だ?」と自分で書いたのに意味がとれないことはよくあります(困ったことに)。そのときは、

こういう書き方をしては後で訳がわからなくなるのだなという反面教師とします。

そんなところです。
講演の内容を、

・頭の中に残す
・頭の中に入れても消えそうなものはメモに残す
・それらを識別する

という作業になるわけですね。そして、どこまで残すかは、そもそも自分はなんのためにメモを取るかに依存する話。

ああ、それから、講演のメモを取りやすいかどうかは、話し手の力にも大きく依存します。メモを取られることを想定して、間違いなく伝わるようにする講演者は、資料をそのように作るし、話の構成もわかりやすいものです。メモなど不要な場合もよくあります。

単に思いつくままダラダラ話す講演もありますが、それに対して意味のあるメモを取るのは難しいでしょうね。それはしょうがないです。

以上、私の思うところを書きました。この連ツイは思いつくままダラダラと書いているので、もしも音声で聞くとしたらメモがとりにくそう(苦笑)…

ご質問ありがとうございました。

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講演に限らず、話を聞くときには接続詞などのつなぎの言葉がとても大事です。「たとえば」「しかし」「したがって」「つまり」…これらの言葉は、話の流れや、これまで言ったこととこれから言うことの関係を表す言葉だからです。これを聞き逃すと、話の流れを見失うことがあります。

また、「たとえば」などのつなぎの言葉をしっかり押さえると、「これから語られる内容を、どのような気持ちで聞けばいいのか」がわかりやすくなりますので、話の内容が非常に捉えやすくなります。

講演では難しいですが、一対一の場合には「それは一つの例としてお話しくださってるのですよね」と聞き返すのはとてもいいことです。

(こういうの、数学ガールのテトラちゃんが上手そう。いかにもいいそう)

以上、補足でした。

関連する読み物をリンクします。

講演に限らず、一般的なうまいメモの話はこちらです。

うまいメモ/気落ちしたときの対処法/社内のルールを何とかしたい/Blenderを始めました/|結城浩 @hyuki #note https://mm.hyuki.net/n/n572e74b70427

メモを取る習慣の話。

結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2017年10月31日 Vol.292|結城浩 @hyuki #note https://mm.hyuki.net/n/ndd14137273cb

人の話を聞くときのコツ。

相手の心にシンクロする第一歩(コミュニケーションのヒント)|結城浩 @hyuki #note https://mm.hyuki.net/n/nebed9f20398c

2022-09-20 (Tue) 04:41:13